研究室紹介

研究について

研究について

名古屋大学小児科では、各種領域専門分野を網羅した数多くの研究・診療グループを有することから、希望の専門分野の研究が可能です。血液・腫瘍、免疫、新生児、神経、循環器、感染症の分野は、大学に教員がいるため大学での研究を行っています。他にアレルギー、腎臓、代謝、内分泌、遺伝・染色体、救急・集中治療の研究・診療グループは、名古屋大学小児科関連施設にその拠点があり、各種専門分野の医療の提供および大学と連携して学位取得も可能です。大学の研究においては、各グループの教員が指導者となり、専門分野の研究を進めていますが、基礎系の研究室や、学外の研究施設での研究もできます。愛知県4大学の小児科では、「四大学小児科・合同研修プログラム」を策定しており、自施設では網羅しにくい専門領域を、お互いの大学がカバーしあうことで、専門医研修や学位取得も可能です。愛知県のみならず、県外を含む国内や国外への留学も積極的にサポートしており、外部の施設で勉強したことを名古屋大学小児科もしくは関連施設に持ち帰って活躍していただけることを期待しています。
これまでできなかった診断や治療を可能にするなど、伝統的に臨床に直結した研究を幅広い分野で行っています。

名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学教室が登録衛生検査所に認可されました

名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学教室が、2021年9月13日付けで登録衛生検査所に認可されました。
これまで名古屋大学小児科は、小児血液・免疫疾患、ウイルス感染症等の中央診断施設として機能してきましたが、法律上、診療に必要な検査を医療機関に提供することができるのは、「病院の検査部門」と各都道府県知事等に認可された「衛生検査所」に限られています。そこで、名古屋市へ申請を行い、衛生検査所(登録名:名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学教室)認可により、全国の医療機関に以下の検査受託を開始しました。

受託検査項目

  • GPIアンカー型タンパク質の発現解析(PNH検査)
  • 末梢血リンパ球におけるテロメア長測定(テロメア長測定)
  • マルチプレックスPCRを用いたウイルスDNA定量(ウイルスDNA定量)
  • 神経芽腫に対するPHOX2BとTHの測定による微小残存病変の評価(NB-MRD)
  • デジタルPCRによる高感度遺伝子変異解析(高感度遺伝子変異解析)
  • コロニー形成細胞アッセイ

今後、当施設における研究成果を診療に役立つ検査方法として項目を拡充し、全国の対象疾患患者の診断・診療に貢献していきたいと考えております。

名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学教室における受託可能検査項目

研究グループ紹介

血液・腫瘍・免疫グループ

小児がん治療センターを中心に、年間約100例の入院治療と、5床あるクリーンルームで年間約40例の造血・免疫細胞療法を行っています。小児血液・がん専門医研修および造血幹細胞移植の認定施設であり、専門医研修が可能です。ゲノム解析を中心にこの分野で研究活動も精力的に行っており、疾患の病態解明や新規治療法の開発を目指しています。診療実績、研究活動が認められて2013年に小児がん拠点病院の指定を受け、東海地区での中心的役割を担っています。

血液・腫瘍・免疫グループ

神経グループ

小児神経グループでは、子ども達の脳や神経の病気の診断や治療について診療や研究をしています。例えば、てんかん、急性脳症、脳性麻痺、新生児脳障害などの小児中枢神経疾患や重症筋無力症、筋ジストロフィー、神経障害を呈する先天代謝異常、神経変性疾患などを診療、研究しています。

神経グループ

新生児グループ

新生児グループでは、名古屋大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センターを中心に、診療・研究・教育を行っています。院内の各科と連携し、早産・低出生体重から外科的疾患、先天異常症候群まで幅広く診療を行っています。さらに未だ治療が困難な新生児疾患の克服を目指し、幹細胞を用いた研究など積極的に取り組んでいます。また、当院は日本周産期・新生児医学会専門医制度の基幹施設となっており、日本周産期・新生児医学会専門医を取得することができます。

新生児グループ

感染症グループ

難治性ウイルス疾患の診断・治療・研究を行っています。先天性サイトメガロウイルス感染症、B型・C型慢性肝炎、慢性活動性EBウイルス感染症、基礎疾患のある患者さんへの予防接種などの専門診療外来があります。感染症の遺伝子診断を行っており、PCR法・次世代シークエンス法による早期治療システムは他施設に先駆けた医療です。日本小児感染症指導医教育研修プログラム認定施設です。日本感染症学会専門医も取得可能です。

感染症グループ

循環器グループ

先天性心疾患や肺高血圧を中心に診療を行っています。小児循環器専門医の修練施設群であり、専門医研修も可能です。研究では、基礎研究として先天性心疾患や不整脈の次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析や機能解析、肺高血圧症や先天性心疾患術後合併症の病態解析を行っています。また、臨床研究では、川崎病の急性期治療や長期予後、先天性心疾患術後の合併症に関する多施設共同研究を行っており、病態解明を通じてよりよい治療法の開発を目指しています。

循環器グループ

アレルギーグループ

2022年度から、アレルギー専門研修が専門医機構による新制度となりました。関連施設内ではあいち小児保健医療総合センターが代表的な研修施設で、フェローとして原則2年間在籍して専門医取得を目指します。特に食物アレルギーの診療(食物経口負荷試験、経口免疫療法)では国内トップクラスの実績があり、基礎の研究機関との共同研究も含めて学会発表(国内・海外)や論文執筆(和文・英文)も多数行っています。

内分泌グループ

1962年に小川正道先生が内分泌外来を開始しました。現在は17名が在籍し、内分泌代謝専門医(小児科)7名を擁します。GH1遺伝子異常症をはじめ、成長ホルモン受容体に関する研究などを行ってきました。現在はターナー症候群の最終身長をはじめとした臨床研究に取り組んでいます。診療内容は低身長、甲状腺、下垂体疾患、糖尿病、Turner症候群、Prader-Willi症候群、Noonan症候群など多岐にわたります。四大学小児科合同研修プログラムを利用して研修することも可能です。

腎臓グループ

JCHO中京病院を中心に関連施設に専門外来を設置し、学校検尿異常、ネフローゼ症候群や慢性糸球体疾患などの糸球体疾患、アルポート症候群や先天性ネフローゼ症候群などの遺伝性腎疾患、慢性腎不全に対する透析療法や腎移植などについて診断・治療・管理を行っています。また多施設共同研究などを通じて臨床研究への参加も行っています。専門医は小児科専門医取得後に日本腎臓学会の腎臓専門医を取得することができます。

救急・集中治療グループ

救急・集中治療グループは、子ども達のより良い転機のために急性期医療の診療、研究を行っています。診療は主に救急は初療を担当し、集中治療はICUにて重症患児の全身管理を担当します。どちらも疾患は多岐に渡り、時には複数の病態が絡んでいます。そのため各分野の知識を持ち、各専門科・他職種とのチーム医療の要となることが大切です。研究については蘇生に関することが先行していますが、予防、搬送、シミュレーション、呼吸機能、ECMOについてなど多岐に渡る研究をすることができます。

遺伝グループ

染色体異常症や先天異常症候群、各種遺伝子疾患を有する患者さんの診断と治療、療育、遺伝カウンセリングなどの遺伝診療を実践しています。名古屋大学小児科関連施設の豊富な症例を対象にした臨床研究や生命科学研究により医学全般への貢献を目指します。また、臨床遺伝専門医の認定研修施設で専門医の育成、教育に力を注ぐほか、国内外の研究施設と協力して、基礎研究に従事することができる体制を構築しています。

代謝グループ

大学内にはメンバー不在で、関連施設にて各々が診療しています。研究会活動として、年2回、藤田医科大、岐阜大と共に、「東海臨床遺伝・代謝懇話会」を開催しています。四大学小児科・合同研修プログラムでは藤田医科大学が専門研修施設として挙げられており、伊藤哲哉教授のもと専門的診療・研究が実施されています。対象患者の診察や相談、若手研究希望者の専門研修受け入れは、大学の垣根を越え藤田医科大学にお願いしています。

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