血液・腫瘍・免疫グループ
小児がん治療センターを中心に、年間約100例の入院治療と、5床あるクリーンルームで年間約40例の造血・免疫細胞療法を行っています。小児血液・がん専門医研修および造血幹細胞移植の認定施設であり、専門医研修が可能です。ゲノム解析を中心にこの分野で研究活動も精力的に行っており、疾患の病態解明や新規治療法の開発を目指しています。診療実績、研究活動が認められて2013年以来小児がん拠点病院の指定を受け、東海地区での中心的役割を担っています。
代表者高橋 義行
研修施設認定・拠点病院指定
学会認定施設
- 日本血液学会専門研修認定施設(日本血液学会)
- 小児血液・がん専門医研修施設(小児血液・がん学会)
- 移植施設認定(認定カテゴリー1)(日本造血・免疫細胞療法学会)
拠点病院指定
- がんゲノム医療中核拠点病院
- 小児がん拠点病院
活動内容
診療活動
名古屋大学医学部附属病院は、2013年に「小児がん拠点病院」の指定を受けて、東海地区の小児がん診療の中心的な役割を担っています。小児外科をはじめ、脳神経外科、整形外科、耳鼻いんこう科、放射線科などと連携して小児がん治療を行っています。学会の研修施設に認定されており、日本小児血液・がん学会専門医、日本血液学会専門医、日本造血・免疫細胞療法学会認定医の資格取得を目指した研修が可能です。
小児がん治療センターを中心に、常時60~70名の入院患者さんと、多くの外来患者さんの診療を行っており、さまざまな分野の患者さんに対して質の高い医療を提供することに努めています。また、治療を終えた小児がん経験者が抱える様々な問題を解決するための長期フォローアップ外来を設置しており、医師、看護師、薬剤師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー(MSW)、チャイルドライフスペシャリスト(CLS)など、多職種のスタッフが連携して治療後の患者さんの問題解決に取り組んでいます。また、小児患者さんの治療環境を改善するために、寄付を集めてCT、MRI、PET検査室に子供たちが安心できる装飾を施しています。
研究活動
「診療に役立つ研究」を信念に掲げ、小児血液がん、免疫不全の領域で積極的に研究を行っています。豊富な診療実績と臨床検体に基づいた研究を特徴としており、特に 小児骨髄不全症(再生不良性貧血)、 先天性免疫異常症・遺伝性骨髄不全症候群、 小児白血病・神経芽腫、 造血幹細胞移植・遺伝子改変T細胞療法 の4つの分野で、世界最先端の研究活動を行っています。
小児骨髄不全症(再生不良性貧血)
小児再生不良性貧血の中央診断事務局として、末梢血・骨髄スメアの形態学的診断、中央検査(テロメア長、PNH血球の測定など)を実施しています。毎年5月には名古屋大学医学部講堂で、小児再生不良性貧血・MDS治療研究会を開催し、臨床研究の推進に取り組んでいます。
先天性免疫不全症・遺伝性骨髄不全症候群
先天性免疫異常症および遺伝性骨髄不全症候群の原因となる700以上の遺伝子に対する、ターゲットシークエンス解析を実施しています。また、2017年より、藤田医科大学小児科・愛知県健康づくり振興事業団との協力により、国内で初めて重症複合免疫不全症(SCID)の新生児マススクリーニング検査を開始しました。新生児マススクリーニングで陽性になった患者さんは、追加検査を受けることで早期診断が可能となり、計画的な発症前治療を受けることができます。
小児白血病・神経芽腫
小児特有の白血病である若年性骨髄単球性白血病の遺伝子診断や病態解明研究を行っており、全国の前向き臨床研究にも取り組んでいます。また、小児特有の固形腫瘍である神経芽腫に対するKIRリガンド不一致臍帯血移植を含む前向き臨床研究も行っており、日本小児がん研究グループ(JCCG)と連携しながら、小児がんや白血病の治療成績向上を目指しています。
造血幹細胞移植・遺伝子改変T細胞療法
小児科病棟には5床のクリーンルームがあり、年間およそ40件の造血幹細胞移植を行っています。さらに、急性リンパ球性白血病や悪性リンパ腫に対するキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法などのがん免疫治療に関する臨床研究も行っており、東海地区以外からの患者さんも積極的に受け入れています。また、海外への研究・治療支援も行っています。
研究テーマ
- 小児骨髄不全症(再生不良性貧血)の中央診断事務局
- 原発性免疫不全症・先天性骨髄不全症の診断・病態解明
- 小児白血病・神経芽腫の臨床研究・病態解明
- 造血幹細胞移植、遺伝子改変T細胞療法(先進医療開発)
-
次世代シーケンサーによる
網羅的遺伝子解析 -
CAR-T細胞療法の開発・製造